†Dragon Guardian†
ただならぬ少女の異変に
気が付いた男は、実に凛
とした声で呼びかけた。
「弥嘉………こちらへ」
その声を聞くなり弥嘉は
我に返り、慌てて客間の
中央で胡座をかいている
父親と客人の前にお茶を
差し出した。
「ご、ごめんなさい」
「気にすることはない。
それにしても、いつも私
の分まですまないな」
「いえ、これはお父様の
大好物ですので……」
そう言うなり、弥嘉は頬
を染めた顔を盆で隠しつ
つもはにかんだ笑顔を父
親に向けた。
「そうか……有難う」
すると、男は少女の頭の
上に軽く手を乗せて穏や
かに微笑み返した。
その後すぐに彼は崩した
足を正座に戻して弥嘉の
正面に向き直った。
「――彼を紹介しよう」
どこが威厳を感じさせる
ような男の声色が弥嘉の
心に染み渡っていった。