†Dragon Guardian†
「……いいんじゃない?
便所ぐらい行かせても。
どうせコイツ、足がない
から逃げられないよ」
今までは殆ど話さかった
男の1人が、雑誌に目線を
向けながら口を開いた。
それに渋々従うように、
他の男達はようやく馬鹿
騒ぎを止め始めていた。
「まぁ……ドラゴンのを
見たって確かにしょうが
ないかっ!!あと証拠とか
残るとやっかいだし!!」
「何より後処理がめんど
そうで嫌だな~」
それでも尚、実に不快な
騒音は響き渡っていた。
壱加は男達のふざけた態
度に益々苛立っていたも
のの、一方弥嘉はようや
く申し出を受け入れて貰
えそうな雰囲気になった
め若干安堵していた。
***
「おいお前!!何で自分の
ことをドラゴンって偽っ
てんだよ!?あんな事言わ
れて悔しくねぇのか!?」
壱加は先程の弥嘉の酷い
言われ様に大層憤慨して
いるようであった。
すると弥嘉は何でもない
ような顔をして答えた。
「そう思って頂いている
ほうが、今は何かと都合
が良いですから」
こうした彼女の“決意”
に満ちた目が、いつまで
も壱加の心に焼き付いて
離れることはなかった。