美人薄命
コーヒーの香りの中に微かに感じる木の香り。
何時でも離れていきそうな意識を必死に引き留めながら、目をゆっくりと開けた。
目の前には自分の部屋とは違う光景…。
「…あっ!?」
「起きた?」
私の声に気付いた春人くんが振り返る。
「あ…あの、ごめんなさい。その…寝ちゃって。あと服ありがとう。」
立ち上がった時に落としてしまった服を拾って渡す。
彼はそれを受け取ると再び机に視線を戻した。
「別に。……ただ口は閉じたほうがいいと思うけど。」
彼の言葉に一気に顔が熱くなる。
「あのさ、暇ならコーヒー入れてくんない?今手離せねぇから。」
「あっうん。」