美人薄命
話ながらも視線は机から離すことなく何かを書いている。
コーヒーを彼の元へ運ぶときに気になり覗いてみる。
そこにはロッキングチェアーやビーチで見るような椅子が描いてあった。
「あんたが寝てるの見てたら浮かんできた。」
「あ…。」
確かにどれも寝心地が良さそうなものばかり。
「けど、あんただったらどんな椅子でも寝そうだな。」
描いていた手を止めて、何かを思い出して笑う彼を見る。
「そんな笑わなくてもいいでしょ!」
恥ずかしくて居た堪れなくなる。
「わっ私そろそろ帰る!」
「そう、じゃまた配達宜しくな。」
「え…あっうん。」
意外な言葉に戸惑いながらもそのまま店を出た。