美人薄命


店の前にあいつが居た時は驚いた。

腹減って飯食いに出たら、今にも泣き出しそうな顔してた。



泣きたきゃ泣けばいいのに。
と思ったら口に出してた。



泣きながら話すから、全然わかんねーし。




俺は初めてこの女が店に来た時の事を思い出していた。


心の底から安心したような顔で椅子に座ってた。
俺の造った椅子に。


泣いた後はケロッとして笑って帰って行った。


女ってわかんねー。

というかあいつは表情がコロコロ変わる。


「やっぱおもしれー。」


それから腹が減っていたのも忘れて作業を続けた。



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