美人薄命
「それ20万。」
突然の声に驚き立ち上がると、目の前には同じ歳くらいでカジュアルな服装に髭のある男の人。
このショップの人だと人目で判るくらいしっくりくる人だった。
「一脚20万、二脚なら30にしてもいいよ。」
「に、20まんえん…」
高そうだとは思ったけど…正直そんな高いものだとは思わなかった。
だって何処にでもあるような椅子だし。
「あんたが初めて。」
「は?」
「その椅子に座ったの。」
「はぁ。」
「まっ…売り」
男が何か言いかけた時、誰かが入ってきたようだった。
「わり、客だ。」
今すぐ買えるようなものじゃないし助かった。
ホッとしながら何となく男の先に居る客を見た。