美人薄命
店を出た私は目的もなく街を歩いた。
頭の中にはさっきの春人くんの言葉が残っている。
「客…そうだよね。」
お客さん以外のそれ以上でも以下でもない。
ただ私が少し近付けたと勘違いして、一人で浮かれてただけ。
やっぱり迷惑だったのかも。
あんな綺麗な彼女が居るのに押しかけたりして。
店を出るときに見た女性を思い出す。
柔らかそうな茶色の長い髪に白い肌、整った顔立ち。
一緒に居た二人はとてもお似合いだった。
もう少し早く、好きになる前に知っていれば良かったのに。