美人薄命
「こんにち…」
扉を開けて顔を上げるとカウンターの前にいる彼女の姿。
「あっ春人、お客さんだよ?」
彼女の奥に居た春人くんがこちらを振り返る。
「おう。」
「お客さんじゃないの?」
春人くんの反応に不思議そうな顔をしながら、彼女は彼の腕に自分の腕を絡ませて尋ねる。
「あ、あのお昼ご飯の配達です!
どうぞ!お邪魔しました!」
これ以上見ていられなくて紙袋をカウンターに置いて店を出る。
彼女が来るなら配達なんか頼まなければいいのに。
ただのお客さんで配達もしてくれる便利な奴くらいにしか思われてなかったんだ。
自分が本当に情けなくなった。