美人薄命


今まで以上に仕事に集中した。


帰ったらご飯食べてお風呂に入って寝るだけ。




「あぁ疲れた…。」


会社前で大きく背伸びをして家へと歩き出す。


「あれっ?あなた…」


不意に声を掛けられ顔を上げる。


「あ…」


目の前には微笑む春人くんの彼女が居た。


「やっぱり!春人のお店に来てくれた方よね?
お仕事帰りですか?」


「まぁ…はい。」


「あ、ごめんなさい。私、神谷沙織と言います。」


「渡瀬ミトです。」


屈託なく笑顔で話し掛けてくる彼女に可愛いななんて呑気に考えながら自己紹介をする。


「あの、お昼配達なんですけど…」


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