美人薄命
「わりぃ。…先に食ってればいいのに。」
「うん、一緒に食べようと思ったから。」
接客から戻ってきた春人くんと一緒にご飯を食べはじめる。
食べながらも意識しすぎて春人くんを目で追ってしまう。
「…何?」
「な、何でもない!」
食べ終わってコーヒーを飲んでも、いつも通りに時間が過ぎていった。
拍子抜けするくらい私たちの関係は何も変わらなかった。
また勘違いをしてるのかな。
気持ちが通じ合ったんだと思ってたけど、単に慰めてくれただけだったのかも。
さっきまで浮かれていた気持ちがみるみるうちにしぼんでいく。
結局確かめる勇気も出せないまま普段通りの穏やかな時間が過ぎていった。