美人薄命
後日、仕事中に携帯に知らない番号から着信がある。
戸惑いながらも出る。
「もしもし?渡瀬です。」
「…あぁ白井だけど。」
「し、白井!?」
大きな声が出てしまい周りが不思議そうな顔で見ていた。
慌てて休憩室に向かう。
「そう。」
「はは、春人くんが何で!?」
「芽衣さんに聞いた。」
「あぁそっか…そうだよね。」
「今日時間ある?」
「えっ今日!?」
「予定あるんならまた配達の時でいいんだけど。」
「ない!何にもない!」
「ふっ…じゃ仕事終わったら店に来て。」
思わず力が入ってしまい、電話越しに春人くんの笑い声が聞こえた。
「…わかった。」
「それじゃ。」
そしてそのまま用件を伝え終えると電話は切れた。
それからは仕事が手に着かなかった。
気付いたら春人くんの事を考えて仕事が進まない。
何とか残業することなく終えて会社を出た。