美人薄命
バルコニーへと続く窓からは気持ちの良い風が入ってくる。
私は春人くんに貰ったレザーの椅子を外に運び終えると、コーヒーを入れる。
「ピンクとターコイズのマグカップどっちにしよ…」
「そんな眉間に皺寄せたらビジンも台なし…まっ嫌いじゃないけど。」
「あっ!」
目を細めて優しく笑う春人くんは私の手からマグカップを取るとコーヒーを入れて持っていく。
バルコニーに出ると二つのターコイズのマグカップ。
そしてレザーの椅子の隣にはもちろんカフェラテという名前の椅子。
カフェラテには春人くんが。
レザーには私が座る。
春人くんは本を見て、私は綺麗な空を見上げる。
特に何を話す訳でもなく、ふたりでコーヒーを飲むこの時間が堪らなく好き。