美人薄命



小さい頃は名前を見て褒めてくれる大人が多かったから好きだった。


思春期には嫌いになった。
私の名前を見た人は好奇な目で見てくる。
大袈裟だけど存在を否定されたような気がした。


大人になってからは出来る限り、渡瀬ミトとカタカナ表記を使っている。

今でも目立つのが苦手だから。



けれど昔よりは受け入れられるようになった。


いつか胸を張って美人ですって名前を言えるように。

名前に負けないように生きていきたい。


そんな風に名前が私を導いてくれる気がするから。





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