美人薄命
「あっ美人先輩、待って下さい!」
声が聞こえて振り返ると、小池くんが駆け寄ってくる。
「一緒に帰ってもいいですか?」
「うん、小池くんもこっちの方なんだ?」
「はい!」
そのまま並んで歩き出す。
アルコールのせいなのか少し肌寒い風が気持ち良かった。
「こうやって美人先輩と最後帰れて良かったです。」
「え?」
「お店では話せなかったから。」
「あぁ。小池くん人気だったもんね!」
女の子たちに囲まれてた小池くんを思い出して顔が綻びる。
「僕は美人先輩と話したかったです。」
あまりにも素直すぎる言葉に顔を向けると、小池くんの真っ直ぐな瞳と目が合った。
一瞬ドキッとした。
どう反応していいのか困っていると、
「また行きましょうね!今度は二人で!
それじゃ僕こっちなんで失礼します!」
小池くんはそう言うとにっこり笑って帰って行った。
暫く小池くんの背中を見送って、私も帰宅した。