美人薄命
「ちょっと大丈夫?」
「コホッ…大丈夫。春人くんは何でもない。芽衣が面白がってやってるだけ。」
「なんだ。そんな事だろうとは思ったけど半分期待してたのに。」
明日香はつまらなそうに紅茶を飲みながら言った。
「ないない。正直言ってまだそんな気なれないし…」
「やっぱりまだ引きずってる?」
「いや、引きずってる訳じゃないよ。むしろ自分でも不思議なくらい!
けど、何て言うの?恋の仕方を忘れちゃったみたいな感じかな?」
「あぁなるほど。」
明日香にちょっとだけ嘘をついた。
本当は恋をするのが少し怖い。
謙太とは楽しくて幸せだった思い出ばかりだったけど、その分振られた時のショックは大きかったから。
自分に悪い所があったから振られたんだけど、それでもまた次の人にもいつか振られるんじゃないかと思うとなかなか恋したいとはなれなかった。