池に沈みしモノ
そう言って青年は、わたしを、見て、笑った。

「ああっ…!」

尻餅をついてしまった。

けれど動けない!

がちがちっと歯が鳴る。

にっ逃げなきゃっ、でも体が動かない!

彼の赤い両眼が、わたしを動けなくさせている。

彼はニッコリ微笑んだ。

それと同時に、辺りの木々が揺れ動いた。

…いや、木々だけじゃない。

影…闇が動いたんだ。

闇は次々と蠢き、そして、

医者、

看護婦、

患者、

達の体を刺し殺して、池へ放り込んでいく。

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