短編集<陰>
入れて、アナタを
※ちょっと大人向けで直球です。

 産婦人科の検診。

 大丈夫だよという方はドウゾ。






















「では、下だけ全部脱いで下さい」


私はやっぱり今日もか、と落胆しながらカーテンを閉めた。

検査結果を聞かされるだけじゃ終わらないよね。



私はこの瞬間から、次に服を着るまでの間が苦痛だ。

単純に、怖い。


何をされるかは分かっている。

そう、初めてではないのに、

処女を失う時のように痛みを感じる。


ただ、処女を失う時の方がマシだけれど。









「では、検査していきます」


ドロリとした液体と共に、

冷たいソレが入り込んでくる。


カーテンで遮られていて、先生から顔は見られないが

兎に角私はひどい顔をしていると思う。



ああ、これがアナタのものだったらどれほどいいか。


切なげな顔でも、愛しさが溢れるあの瞬間のように。




画面に映る映像など、見る余裕はない。

私は
くっ、と顔を顰めて手を強く握った。


息が上がる。

決してキモチよくて上がっているわけではない。





ああ、

あなたにキスをしてもらいながらなら

どんなにキモチよく感じるか。






「終わりましたよ」



ズルリと抜かれる感覚だけが

あなたのソレと、同じなのだ。
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