狼執事とお嬢様♡
フワフワと落ち着かない心。
さっきから心臓がうるさい。
『和哉…君…?』
慌てふためく事しかできない私。
そんな私の心を落ち着かせてくれる様子の無い和哉君。
まだ少し冷たい風が、余計に心を掻き立てる。
『あのッ…和哉君ッ…!』
数回の呼びかけに応答の無い和哉君。
腕の力は変わらなくて。
『和哉君…?』
3回目の呼びかけ。
やっと口を開いた和哉君。
和哉君の口から出た言葉は…
「ごめん…」
たたったそれだけ。
その、一言だけだった。
切ないその言葉と響きに、なぜか胸が苦しくなる感覚に襲われた。
緩んだ手。
その手は、無気力に下へ下がった。