狼執事とお嬢様♡
大きな塊だったはずの氷は、もう無い。
私の、温かく苦しいくらいに愛おしい熱を、氷と言う名の身分が私たちを引き裂き、和哉君と巡り合わせた。
私がこの運命にめぐり合うには、温もりを知りすぎた…
「…お前、支葵って奴のことが好きなんだろ…?」
『っ……』
抑えろ、抑えろ、
そう言ってこの気持ちを静止させようとする努力も虚しく…
止まらぬ涙とともに溢れ出る。
『好き…大好きっ…
好き、なの…支葵だけがっ…
ごめん、なさい……っ……』
ダメだ…
1度抑えたはずの気持ちが…
私の心を支配する…
もうちょっと、抑えていれば…
和哉君を、龍を見つめることができただろうか…?
きっと、できた…
なのに…ダメだなぁ…
頑張ってよ、私…
執事とお嬢様の恋は、許されないのだろうか…?