狼執事とお嬢様♡

狼たちとお嬢様




―――…





「お嬢様、お迎えにあがりました。」

『ありがとう…。』





今日は、運転手しか乗っていない。

これも、私が頼んだんだ。





一人の時間を、唯一ゆっくりとれる、この時間。



一人で気持ちの整理と、決心をしたいから。








「お嬢様…?
なんだか怖い顔をなさっていますが…
どうかなさいましたか?」



そんな思いつめた顔してるかな???


やば…



『いえ…
なんでもないです。

ただ、一人で乗る車は、
ただでさえ広いこの車が余計に広くて…

なんだか寂しい。

それに、あの3人がいないと、なんだかつまらない、かな。』




広い車は、好きじゃない。


3人がいない空間も、慣れない。





「そうですね。
お嬢様、いつも楽しそうに話されていますから。

それに、彼らは随分とお嬢様を好いているようで…

厚かましいかも知れませんが私も、毎朝とても微笑ましかったのですよ。」




そう言って笑った若干50代の運転手さん。

その笑顔がかわいらしくて、つられて笑ってしまった。





“お嬢様を好いているようで…”




結構、うれしいかも…

< 335 / 363 >

この作品をシェア

pagetop