狼執事とお嬢様♡
狼たちとお嬢様
―――…
「お嬢様、お迎えにあがりました。」
『ありがとう…。』
今日は、運転手しか乗っていない。
これも、私が頼んだんだ。
一人の時間を、唯一ゆっくりとれる、この時間。
一人で気持ちの整理と、決心をしたいから。
「お嬢様…?
なんだか怖い顔をなさっていますが…
どうかなさいましたか?」
そんな思いつめた顔してるかな???
やば…
『いえ…
なんでもないです。
ただ、一人で乗る車は、
ただでさえ広いこの車が余計に広くて…
なんだか寂しい。
それに、あの3人がいないと、なんだかつまらない、かな。』
広い車は、好きじゃない。
3人がいない空間も、慣れない。
「そうですね。
お嬢様、いつも楽しそうに話されていますから。
それに、彼らは随分とお嬢様を好いているようで…
厚かましいかも知れませんが私も、毎朝とても微笑ましかったのですよ。」
そう言って笑った若干50代の運転手さん。
その笑顔がかわいらしくて、つられて笑ってしまった。
“お嬢様を好いているようで…”
結構、うれしいかも…