堕天使の翼
「…おばさん…、また行っちゃったの?」
蓮が表情を曇らせながら、テーブルの上にあるお金を見詰める。
「…うん。今度は2週間帰らないかもだって」
「2週間って…っ!」
蓮は憤りを表情にそのまま表しながら、私に目を移す。
私は微笑しながら
「大丈夫だよ」
と呟いた。
蓮は暫く俯いていたけど、突然何かを閃いたかのようにパッと輝かせた表情を私に向けた。
「僕の家で過ごせばいいんだよ!」
「…え?」
「そしたら寂しくないよ!ほら行こ?」
蓮は意気揚々と私の手を掴むと、玄関へ向かう。
だけど私はその場にそのまま突っ立っていた。
蓮は眉を八の字にしかめながら振り返る。
「鈴ちゃん?どうしたの…?」
「…いいよ蓮。大丈夫。心配しないで」
「……え?」
「私はやれるよ、1人でも平気」
「…な、何で…?そんなこと言うの…?」
蓮まで不安そうな表情になり、私は何だか複雑な気分になる。
私は蓮の背中を押しながら、玄関に向かった。