どんな形でも
ギターがうまくておもしろいお父さん。
ウイーンの合唱団だった優しい、でも厳しかったお母さん
小生意気だけど気が合った莉乃
そしてあたし…濱岡愛那
──あの日から全てを奪われた。
あの日から…全てが狂った
あたしはバスケ部のキャプテンだった
3年生最後…。
同じ仲間の頑張りや協力で、
県大会での優勝をした
その日、お母さんは体調を崩していた
お父さんはその看病で、
莉乃は部活がなかったから家にいた
いつも家族には迷惑をかけてばかりだった
お母さんにも、早く元気になってほしくて。
─家に帰ってたくさん自慢してやるんだ!
わくわくしながら帰ってきた家は
たくさんの黄色のテープ、
たくさんのパトカー…
たくさんの人に囲まれていた
…一家殺害事件。被害者は
濱岡美智香、濱岡雅哉、濱岡莉乃
あたしはすぐに警察に連れて行かれた
聴取が終わると、すぐにおばあちゃんの家に飛び込んだ
葬式の日はたくさんの人が来た
どれも記憶は曖昧なのにはっきりと覚えている
棺桶の中のあたしの家族。
火葬場で、ゆっくりと灰になっていった
あたしは家族を失った。