どんな形でも
『愛ちゃんありがとうね』
「こんくらい余裕綽々!」
あれから2年がすぎた
本格的に寒くなってきた11月
今あたしはお店でお手伝いをしている
お店はいとこの宏汰くんと梁くんと
おばあちゃんとおじいちゃんが経営する和食屋さん。
元の家とは結構近くて、中学時代の
友達も来てくれていた
『すいません、お水ください』
「はーい今行きます」
みんなが喜んでくれることが嬉しくて
"自分が必要とされている"
って生きてることを実感してた
閉店後はみんなでご飯。
『また来たんだよ~祐輔がさ』
『仲良しな証拠じゃないか』
「ユウスケ…?」
きょとんとしてるあたしにおばあちゃんが説明した
『宏汰のお友達よ。神崎祐輔くん
隣のお家なの。かっこいいわよ~』
『馬鹿だな、ばあちゃん。
祐輔のどこもかっこよかないよ』
トンカツを口に入れたまま言う宏汰くん
「あ!!何か聞いたことあるよ?」
──神崎祐輔。
このあいだお店に真依達が来てくれたときに
かっこいいかっこいいって言ってた…かな?
「きっとそうだと思う」
『あの人モテるらしいからねえ』
食べ終わるのが早い梁くんがうなずいた
「そーなんだ…」
『愛ちゃん興味なさそう~』
「まあね(笑)!」
2年もずっと一緒にいる
宏汰くんには見透かされていた
基本的にアイドルとか、イケメン
っていうのには興味がない
無縁の世界だと思っている。
『まあ、ただお隣なだけだからね。
話すことはあるかもしれないよ』
おばあちゃんの言うことに
妙に納得して、またおかずを口に入れた
─隣なだけ、だしね。