どんな形でも
朝、いつものように7時起き。
支度をしたらすぐに調理場に行く
『あれ、ない…』
「どうしたの梁くん」
冷蔵庫をあさる梁くんがいた。
何か、早起き珍しいな。
『いや…キャベツが無いんだよ。』
「梁くん食べたんじゃない(笑)?」
『食べないよ(笑)』
「…じゃあ、買ってこようか?」
『いいの!?ありがとう!』
あたしはすぐに財布を持って家を出た。
外の匂いが、昔を思い出す
─みんなで朝早くから金沢に行ったんだよな。
途中でお父さんが珍しく酔って…
心配はしたけどおもしろかったな。
またいつか、戻ってきてくれるなら…─
────キキーッ!!
『おい!!』
「ひゃあっ…!!」
ブレーキ音と同時に出た声。
その中で聞こえた…男の人の声…
──────────
気がついたら視界は真っ黒けで。
『ってぇ~…。
お前なあ、ちゃんと見て渡れよな!?
まあ明らか悪いのはあっちなんだけど…』
上から声がして見上げれば、
見たことのない顔がどアップ。
はあ…という甘い吐息に少し酔ってしまいそうになったが
「うひゃあっ!!」
…ようやく、状況が飲みこめた
あたしは今この男の腕の中、
何故か路上に転がってる
……あぁ。
あたしトラックから、この人に助けてもらったんだ。
「ごめんなさい、っと‥ありがとうございます」
『いいよいいよ!
今度からは気をつけろよ?
……家族のとこに行かないように』
「へ?」
…─家族のとこに?
あの人あたしのこと知ってる?
何か嫌なやつ!
見たことはあるんだけどね…
『ごめんなさいっ!!!!』
頭上から、これまた男の声。