側にいる誰かへ
何発殴られただろう。

何発殴りとばしただろう。

気が付けば、俺の足元にはクラスメートの全男子が倒れていた。

その光景を見て、クラスの女子は悲鳴をあげている。

痛みに苦しむ男子とそれを見て泣き叫ぶ女子。

お前らにはお似合いだろ。

ぐら

俺の足元がよろける。

「くらいすぎたか。」

クラスメートだけじゃない。傷を負ったのは俺も同じだった。

何て事ねぇ…。

俺はまだ生きてる。

俺は視線を廊下に向ける。

そこには、ガラス腰に俺の方を見ている他のクラスメート達の視線があった。

「はは…。」

俺は、床に唾を吐く。

その唾は血で真っ赤に染まっていた。

「第2ラウンドといこうか。」

俺は廊下とつながるドアに目をやる。

そこには床にへたりこむ女生徒が一人。

俺は、そいつにその場を離れるよう目で合図をする。

俺は床を這って、その場を離れたそいつを確認すると同時に、勢いよくドア目掛けて飛び蹴りをかます。

ドン。

ドアははずれ、俺も勢いで廊下に出る。

そこには、俺に恐怖の視線を向ける生徒達の視線があった。

関係ない…。

「始めるぞ。」

俺はそいつらに言い放つ。

そいつらを殴ろうと振り上げた俺の拳が止まる。

「雅樹…。」

視線の先、そこには雅樹がいた。

「富塚。いかげんにしろよ。やり過ぎだろ。」

「うるせぇよ。お前こそ何だ。何もわからねぇくせに。そこをどけ。」

「俺はダチとしてお前に忠告してるんだろ。」

「はは…。」

「何が可笑しい。」

「ダチか。今はな。でもお前は俺が死んだら、徹のように俺を見捨てるんだろ。」

「何。」

雅樹の声は怒りに満ちていた。

「何か不満があったか。その通りだろクズが。テメェより、ここで他人面してる奴らの方がよっぽどマシだろ。偽善を気取ってないからな。」

俺は嫌味を込めて雅樹に言い放つ。

「どけよ。」

俺は無言で立ち尽くす雅樹の横を通り抜けようとする。

刹那、雅樹の膝が俺の腹にめり込む。

俺はその痛みに耐えられず、腹を押さえ、膝を床についた。
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