側にいる誰かへ
「ゴホ、ゴホ。」
俺は雅樹を睨む。
雅樹も俺を睨んでいた。
「富塚。テメエに俺の何がわかる。他人の何がわかる。」
雅樹は声を荒立て言葉を続ける。
「自分だけ。悲劇のヒロイン気取りか?あっ。何もかも無茶苦茶にしてぇのは俺も一緒だ。」
一緒?
俺はその時、雅樹の言葉が心底嬉しかった。
今まで、全てを一人で背負っていたような気がしていたから。
でも、俺が徹に対してしてきた事。
雅樹が徹のためにしてきた事。
そこには、大きな温度差があった。
俺は全てを掛けて、何かをしようとする人間。
雅樹は何かをしながらも、様々なものを大事にしようとする人間。
二人の温度差は、そこで二人に手を取り合わせる事を許さなかった。
俺は笑みを浮かべる。
「はは…。ならお前は何を。徹のために何をしたって言うんだ。言えよ。」
俺は冷静に言葉を続ける。
「何も言えないだろ。だって何もしてないもんな。はは。笑える。お前はいつも口だけだろ。」
雅樹の顔色が変わる。
雅樹は足元でしゃがんでいた俺の顔面におもいっきり右蹴りをだす。
俺は前髪にその蹴りをかすらせながらも、バックステップで何とか避ける。
空振りの遠心力で雅樹の体勢が崩れた。
俺はすぐさま立ち上がり、雅樹の顔面目掛けて右ストレートをぶち込んだ。
ドコ。
雅樹の顔面に俺の拳が命中する。
雅樹は勢いよく、後方にいたギャラリー達にぶつかる。
「ううっ」
雅樹は口から血を流していた。
俺はそんな雅樹に言い放つ。
「次は全力で行くぜ。」
雅樹は口から出た血を左手で拭いながら、よろけ様にゆっくり立ち上がる。
雅樹と俺。
互いの視線が交差する中、しばしの沈黙が流れる。
いつしか互いはどちらともなく闘いの構えをとる。
互いに心の迷いはあるだろう。
しかし、二人はもう引き返せない。
お互い。
親友を亡くした者同士。
何かを壊したい、倒したい衝動は、
すでに互いに向いていた。
俺は雅樹を睨む。
雅樹も俺を睨んでいた。
「富塚。テメエに俺の何がわかる。他人の何がわかる。」
雅樹は声を荒立て言葉を続ける。
「自分だけ。悲劇のヒロイン気取りか?あっ。何もかも無茶苦茶にしてぇのは俺も一緒だ。」
一緒?
俺はその時、雅樹の言葉が心底嬉しかった。
今まで、全てを一人で背負っていたような気がしていたから。
でも、俺が徹に対してしてきた事。
雅樹が徹のためにしてきた事。
そこには、大きな温度差があった。
俺は全てを掛けて、何かをしようとする人間。
雅樹は何かをしながらも、様々なものを大事にしようとする人間。
二人の温度差は、そこで二人に手を取り合わせる事を許さなかった。
俺は笑みを浮かべる。
「はは…。ならお前は何を。徹のために何をしたって言うんだ。言えよ。」
俺は冷静に言葉を続ける。
「何も言えないだろ。だって何もしてないもんな。はは。笑える。お前はいつも口だけだろ。」
雅樹の顔色が変わる。
雅樹は足元でしゃがんでいた俺の顔面におもいっきり右蹴りをだす。
俺は前髪にその蹴りをかすらせながらも、バックステップで何とか避ける。
空振りの遠心力で雅樹の体勢が崩れた。
俺はすぐさま立ち上がり、雅樹の顔面目掛けて右ストレートをぶち込んだ。
ドコ。
雅樹の顔面に俺の拳が命中する。
雅樹は勢いよく、後方にいたギャラリー達にぶつかる。
「ううっ」
雅樹は口から血を流していた。
俺はそんな雅樹に言い放つ。
「次は全力で行くぜ。」
雅樹は口から出た血を左手で拭いながら、よろけ様にゆっくり立ち上がる。
雅樹と俺。
互いの視線が交差する中、しばしの沈黙が流れる。
いつしか互いはどちらともなく闘いの構えをとる。
互いに心の迷いはあるだろう。
しかし、二人はもう引き返せない。
お互い。
親友を亡くした者同士。
何かを壊したい、倒したい衝動は、
すでに互いに向いていた。