側にいる誰かへ
俺が扉を開けた時、全ては終わっていた。

何もない空間が広がる。

家具も彼女のにおいさえも。

仏壇があったはずの和室に俺は入る。

そこには、封筒が一枚。

「富塚君へ」と書かれている。

彼女からの最後の手紙。

彼女は俺の側からいなくなった。

俺はその場にしゃがみ込む。

「ううう……。」

俺が涙を流したのは何年ぶりだろう。

強くなりたかったはずなのに…。

もう、そんな事はどうでもよかった。

「あああああ−−−。」

俺は叫び続けた。
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