側にいる誰かへ

2.徹

学校帰り。

徹と雅樹と俺はいつものようにパチンコを打っていた。

大人達の中、学生服を着た三人が並んで台と向かい合う。

しばらく打っていると、若い男の店員がこっちに近づいてきた。

気が弱そうな奴。
店員は俺の前で立ち止まると目を合わせないように俯きかげんに呟いた。

「未成年の入店は禁止されていますので…。」

店員は言葉に詰まりながらも何かボソボソと呟いている。

イライラする。
いつもそうだ。

こいつら大人は俺達を外見だけで、腫れ物のように扱おうとする。


できるだけ近づかず、係わり合わないように。

俺達の内面を見ようともせず。

こいつも自分の意思ではなく、店長に言われて俺達を注意しにきたのだろう。

本当は近づきたくもないくせに。

自己主張の乏しいくだらない世間。


「不良」
そんな世間が俺達につけた呼び名。

「不良」=良くないもの。

そう読んで、世間は影で俺達を笑っている。

面と向かい合うわけでもなく。

コソコソと。

阿保らしい。
ふざけんな。
俺達はこの格好がカッコイイと思ってるから、こうしてるだけだ。

それ以上はないし、
それの何が悪い。
大人の「ファッション」と何も変わりがねぇじゃねぇか。


大人達は「学生は真面目に風紀をみださずに生活する。健全育成のため。」

そんな言葉を俺が産まれる前から言っていた。


本当にくだらねぇ。
俺達は今を生きてる。
選択の自由もある。

大人になるまで、やりたい事を我慢しろとでも?子供はしおらしく生きろとでも?
そう言うのか。

糞くれぇだ。

だいたいギャンブルだって、なんで未成年がしたらいけねぇんだ。

意味が分かんねぇ。

いつも大人は俺達をガキあつかいするし、意味のねぇルールにはめようとする。

だから枠にはめられたガキはくだらねぇ大人になっていくんだよ。

自己主張をせず、社会の言いなりになるような。

不良だと?
お前達大人の言う事を聞かないからそう呼ぶのか?

多いに結構。
俺は、お前達のような大人にはならない。

どんな時でも、俺は自分の歩くべき道は自分で決めるさ。
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