それでも君と、はじめての恋を
「……どうしたの渉」
「ん~? 何、なに? 何かあったのぉ?」
机にうつ伏せるあたしに声を掛けてくる葵と純には反応できなかったのに、ポケットから伝わる微振動に勢い良く顔を上げた。
「ちょ、本気でどうしたの」
「何だかせわしないねぇ~?」
携帯を開くと、ちょうど先生が教室に入ってきて「きりーつ」とやる気のない日直の声が耳に届く。
けれどあたしは座ったまま、携帯画面に映し出された受信メールから目が離せなかった。
「れー……」
「ん? おい、そこ。矢吹か? 起立だぞっ」
「……渉? どした」
「渉~ん、起立礼しなきゃぁ~」
……無理。
From:モモ
件名:Re
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やっぱ変なのって、
渉だと思う。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「え、どうした矢吹っ! 具合悪いのか!?」
あたしの頬に流れたものを見て先生が焦ったように言うけど、首を振った。
後ろから葵が、横から純が「どうした」なんて言いながら、携帯を覗いてくる。