それでも君と、はじめての恋を
「!」
少し離れて3人の様子を見ていたあたしをモモが見遣って、不思議そうに首を捻る。
腕に抱えてる雑誌にモモが視線を移したその隙に、あたしは歩みを進めた。
気を抜くとモモに見惚れちゃうから、気をつけなきゃなぁ……。
難なく輪の中に入り込むと、会話は続けられる。
「1組って学食利用する奴少ないよね」
「ウチのクラスと比べるとねぇ~。どする? 7組で食べる~?」
「そうしよ」
モモとあたしの意見も聞かずに、さっさと7組へ引き戻す葵と純。自由だな……なんて思いながら、ちらりとモモを見上げた。
「「……」」
いやいや、盗み見たかっただけで、見つめ合いたかったわけじゃないんだ。
視線を逸らさないモモに、きっとぎこちない笑顔を見せて、ふたりが歩いて行った廊下を指差す。
「い、行こうか」
先に歩き出したあたしの隣に、あっさりと一歩で追い付くモモ。並んで歩くことなんて何回もあったのに、あたしはあの日から、どうも緊張しちゃって上手く話せない。
話題を探せば探すほど、どうでもいい話しか思い浮かばなくて。
好きだ好きだと思うほど、身動きが取れずにいた。