それでも君と、はじめての恋を


「あぁぁああ……ダメ過ぎる」


顔を両手で覆うあたしは、さっきまで隣に座っていたモモの気配がなくなってホッとしたり寂しく思ったり忙しい。


落ち込むあたしを黙って見てるふたりも、応援してくれてるっていうのに。こんなんじゃ、葵にバカだと言われても仕方ない。


両手の隙間から、純と葵を覗く。


「ねぇ……モモって、何チョコが好きだと思う?」

「本人に聞け」

「あっはは! 確かにぃ~!」


ケラケラと笑う純にムッとして、でも葵が言ってることは正しいから何も言い返せず、机に突っ伏した。


バレンタインまであと2週間弱。何もせずにはいられないのは確かで、友達としてチョコをあげるつもりも全くない。


……のに、“本命チョコ”をあげたらどうなるのかが怖くて。


あげることよりも、その先に不安を募らせちゃうんだ。



ねぇ、モモ。


あたしが友達の距離から踏み出したら、困る?
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