それでも君と、はじめての恋を




「う、げ」


次の日の朝、目の前に停まった電車は明らかに混雑していた。


今日、雪ヒドイからなぁ……。普段徒歩とかチャリ通の人は、考えること一緒か。


座席はびっしりと埋まり、立っている人の方が多い電車に乗り込む。眉を寄せながらドアの端に立ち、ポールに寄り掛かった。


発車する電車に揺られながら、今日こそちゃんと会話しなきゃとか、今日こそ何チョコが好きか聞かなきゃとか。


考えるのは、モモのことばかり。


「はぁ……」


最近、溜め息が多い気がする。


各駅停車の電車は、学校まであと2駅。徐々に満員電車になっていく息苦しさに俯いた時だった。


開かれたドアから入る冷気に混じって、アリュールオムの香りが鼻を掠める。


「……」

「……はよ」


顔を上げた先にはやっぱりモモがいて、あたしはこれでもかとばかりに目を見開く。


ビ……ックリした……!!


「お、おはよ!」


な、何で朝からモモ!? 電車が一緒なのは知ってますが、今まで朝に会ったことないんですけど!?
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