それでも君と、はじめての恋を
*
「う、げ」
次の日の朝、目の前に停まった電車は明らかに混雑していた。
今日、雪ヒドイからなぁ……。普段徒歩とかチャリ通の人は、考えること一緒か。
座席はびっしりと埋まり、立っている人の方が多い電車に乗り込む。眉を寄せながらドアの端に立ち、ポールに寄り掛かった。
発車する電車に揺られながら、今日こそちゃんと会話しなきゃとか、今日こそ何チョコが好きか聞かなきゃとか。
考えるのは、モモのことばかり。
「はぁ……」
最近、溜め息が多い気がする。
各駅停車の電車は、学校まであと2駅。徐々に満員電車になっていく息苦しさに俯いた時だった。
開かれたドアから入る冷気に混じって、アリュールオムの香りが鼻を掠める。
「……」
「……はよ」
顔を上げた先にはやっぱりモモがいて、あたしはこれでもかとばかりに目を見開く。
ビ……ックリした……!!
「お、おはよ!」
な、何で朝からモモ!? 電車が一緒なのは知ってますが、今まで朝に会ったことないんですけど!?