それでも君と、はじめての恋を
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ホームルームが終わってすぐ、教室を出て行ったはずの担任が真横にある窓をノックして、声をかけてきた。
「おう、お前ら冬休み明けても派手だったな」
窓を開けると、担任の安部ちゃんは意味の分からない話をして口の端を上げる。
「何? それだけ? 寒いんだけど」
温かい教室に流れ込む冷気に眉を寄せると、安部ちゃんはあたしと葵、純を交互に見ながら告げた。
「お前ら部活入ってなかったよな? 今から雑用頼む」
「うえ。雑用とか無理」
「俺もやだよ~。忙しいもん」
どーせ純は女の子とデートだろ!
「てか全員嫌だし。めんどくさい」
葵が言うと、安部ちゃんは急に眉を吊り上げる。
「いいから! ジュースくらいならおごってやるから! 社会資料室な!」
「はあー!? 勘弁して!」
安部ちゃんは言うだけ言って去って行った。
窓から顔を出して文句を言おうも安部ちゃんは遠ざかっていて、その後ろ姿を睨んでから窓を閉める。
「ああもう、だから廊下側の席って嫌なんだよね」
さっさと帰れば良かった!