それでも君と、はじめての恋を
「てか俺ら、ジュースくらいで釣られる歳じゃないよねぇ~」
「ほんとその通り」
口ぐちに文句を言っても、このまま帰るわけにもいかない。
いや、帰ったっていいんだけど……次の日に怒られたり、更に面倒くさい雑用を頼まれた経験がある身としては、今手伝いに行った方が……。
ハァ、と溜め息を吐いて携帯で時刻を確認する。予定があったわけじゃないけれど、昼前に帰れる日だったから余計に憂鬱さが増した。
「ね。どうす、る……」
顔を上げると隣の席に腰掛けていたはずの純が、葵の真後ろにあるドアから出ようとしているところだった。
「ほんじゃねぇ! また明日ぁ~!」
「はあ!? ちょ、待てっ! 純!!」
時すでに遅しっていうのはこのことだ。純は颯爽と教室を出て、慌てて追い掛けても素早く階段を降りて行ってしまった。
「あんっのバカ……!」
わなわなと体を震わせても、怒りをぶつける相手がいなくちゃどうにもならない。