それでも君と、はじめての恋を
泣きそうになるのは、モモにしては饒舌なのもあると思うけど。
擦れ違っていた時、モモが何を思っていたのか知らなかったから、それが知れたのは素直に嬉しい。
「……で、固まってた俺に森が色々……アドバイス的なことしてくれて」
電車のアナウンスが次の停車駅を告げて、モモの地元であることに気付く。すると、モモはあたしを見て黙る。
「……ん?」
終わり?
森くんにアドバイスされて、どう思ったとかないの?
「言うだけ言って逃げるから、困った」
「……でも、来てくれたじゃん」
「……」
真顔で困ったと言ったモモの表情が固まって、すぐに「しまった」って顔になる。
それとも、しくじったとか思ってる?
だって、来てくれたじゃん。
想いを伝える為に。窓ガラスに、スキって書いてくれたじゃん。
モモは眉を寄せて、口元に拳を持っていく。
まるで今から咳払いしますって感じ。
一度逸らされた瞳はあたしを捉えて、隠れている口はきっと、期待してる言葉を言ってくれる。