それでも君と、はじめての恋を
「……両想いだったんだから、行くしかないだろ」
頬を染めて、言わされたみたいな空気が悔しいのか、モモは言ってすぐに立ち上がる。
電車が速度を落としはじめて、あたしはニヤける口元を両手で隠してモモを見上げた。
まだ少し、頬がピンク色。
「……モモ」
呼ぶと、あたしを見下ろすふたつの瞳。最初は怖いと思っていたのに、今は見つめられたいと思うなんて、不思議。
「話してくれてありがとう。……また明日ね」
ゆっくりと電車が止まり、ドアが開くのを待っていたモモはあたしに振り返る。
「またね」
綺麗な形の唇を緩ませて、モモは微笑んで電車を降りた。
……また、明日。
あたしの知らないモモを教えて。
また明日、その次も、その次も、またその次の日も。飽きることなくモモのことが知りたいって思うよ。
知ったぶんだけ近付く距離を、これからもっと、ふたりで縮めていこうね。
――――――
―――