それでも君と、はじめての恋を
「イメチェンイメチェンッ! ほらぁ、俺ってば綺麗なおでこしてるじゃん?」
「純のデコなんて飽きるほど見たし」
「やだなぁ葵ってば。ヘアバンドあるのとないのじゃ結構違うでしょ~!」
3人並んで歩き出し、左隣に立つ純を見上げた。まぁ、確かに純の言うとおりなんだけど。
「その癖っ毛は変わらないよね」
「癖毛を生かしてアレンジ出来る俺ってぇ、かっこよくな~い?」
「ダメだ。コイツ変わらずアホだわ」
右側から吐き出された葵の毒舌に吹き出して、純は「ちょっとぉ~!」と怒っている。
純の癖っ毛でボリュームある髪は後ろへ流されて、やっぱりあたしにはライオンにしか見えないんだけどよく似合ってる髪型だと思う。
「ていうかぁ、渉も葵も髪型変わってるじゃん!」
「超今更。アンタ、女子と遊び過ぎ」
「渉たちとも遊んだじゃんかぁ~。あ、2回じゃ物足りなかった?」
「……純、お願いだから大人しく過ごして」
校門を通り過ぎると、生徒玄関の前は生徒で溢れていた。見覚えのある顔、先輩だと分かる人達、真新しい制服に身を包んだ子たち。
そのどれもが、新しい季節の訪れを感じさせた。
「お、あの子可愛いじゃぁ~ん! メアド聞いて……」
「「純!!」」
――春。新学期。
あたし達は今日から、2年生。