それでも君と、はじめての恋を
パチン、パチンと、プリントを止める音だけが教室に響いて何分経っただろう。
壁に掛かる時計を見上げると、まだ30分しか経っていなかった。
「マジでか……」
結構終わったな……。黙々と作業していたからだと思うけど、全部できるかもしれない。
いったんホチキスを置いて、伸びをする。
「んー!」と声を出した時だった。ガラッと、ドアの開く音が聞こえたのは。
「……」
伸びをした状態で、あたしと目があったのは男子生徒。上げていた両腕を下ろせないのは、突然現れた人に驚いたから。
「……先生は?」
180cmは超えているであろうノッポさんが、目の前に立つ。
表情のない小さな顔にサラリとかかる髪はピンクブラウンに見えるけれど、内側は違う色なのか、所々ピンクの隙間から茶色が覗いていた。
初めてこんなに間近で見た……。
「……」
しばらく合っていた目を逸らされて、ハッとしたあたしは慌てて腕を下げる。