それでも君と、はじめての恋を


「はい座れーおはよー」

「安部ちゃぁ~ん! 2年もよろしくぅ」


1年の時も担任だった安部ちゃんは、ボサボサの黒髪を鬱陶しそうに掻き上げながら声をかけた純を見遣る。


「安部ちゃん言うな。お前らどうせ席近いだろ、座れ座れ!」

「え、ちょっと! あたしまだ見てない!」

「渉は窓際の後ろから2番目~。あいうえお順。ねぇ、安部ちゃん?」

「純と離れたとか最高。暫く席替えしなくていいからね、担任」

「安部先生と呼べゴラァ!」


元7組の多い教室は笑いに包まれて、あたしは葵と安部ちゃんに背中を押された。


あいうえ順なら、葵はあたしの後ろの席だよね。池田の純くんとは離れたけど、特に困ったことはないから良しとする。


「すいませーん! 遅れましたっ」


勢い良く開いたドアの音に顔をそちらへ向けると、「げ」と葵の嫌そうな声。


何で?と聞くより先に、あたしは目に入ったモモの姿に目を見開いてしまった。


「ちょ、マジか! 俺より上をいくイメチェンすんなバカァ~!!」

「……? あ、ヘアバンドやめたんだ」

「超ウケる。桃井までイメチェンとか強くない?」


いや、あの……。
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