それでも君と、はじめての恋を
「……お前ら、早く座れ? そろそろ座れ? 怒るぞ!!」
「やっだ安部ちゃんたらぁ~、もう怒ってんじゃ~ん。ねえ葵」
「ドンマイだよ」
「ほんとだよ! 始業式だけは見た目地味にしてこいって、あれほど言ったのによお……誰が怒られると思ってんだバカども!」
怒りだした安部ちゃんにあたし達は笑いつつ席へ向かう。先に机にカバンを置くと、隣の席と斜め後ろの席が空席だった。
……あれ?
え、あれ? も、しや……。
「モモ……隣?」
こちらに向かって来たモモが、肩にかけていたカバンを手に持ち変える。トスッとカバンが置かれた先は、あたしの隣の席だった。
「よろしく」
僅かに微笑んだモモに、きゅんを通り越してギュン。痛いくらい胸が締め付けられて、「あぁああああ!好き!」って叫びたいくらい。
隣! 隣の席! マジで嬉しい!
窓際は他の列よりもひとつ席が少ない。そのおかげで、あたしはモモの隣になれたっぽい。
後ろは葵で、斜め後ろの席は森くん。いそいそと席に座ると、ガタンと音を立ててモモも座った。
……ヤ、ヤバい。
これは、嬉しすぎると言うか……。
チラリとモモを盗み見ると、担任の方を見ながら話しを聞いてるようで、多分ぼーっとしてる。
ニヤけちゃうんですが!