それでも君と、はじめての恋を
▽桃色微炭酸
「うわ。付けま浮いてる……!」
「あー、アタシも目頭んとこ浮いてる」
「体育のあとってメイクよれるよね」
体育後の女子更衣室でそんな会話が行き交う中、着替えを終えたあたしも自分のメイクを鏡で確認する。
「渉、ネクタイ曲がってる」
「マジだ」
葵に言われて鏡を置き赤いネクタイをほどくと、先程付け睫毛の話をしていたクラスメイトに名前を呼ばれた。
「渉と葵は何でズレないわけー!?」
何でって言われても困るんですが。
あたしと葵は顔を見合わせて、先に葵が口を開く。
「付けた時点で失敗してるか接着剤が悪いんじゃない?」
「付属されてる接着剤すぐ取れるからアイプチで代用してんだけどさー」
「ふたりは何使ってんの?」
ワイワイと6人の女子で集まって、あたしはポーチの中から接着剤を取り出して見せた。
「葵とあたしはコレだよー」
「あー! それ知ってる! 雑誌によく載ってるよねー」
「そうそう、口コミで1位だったやつ」
小さいくせにちょっと高めだけど、マジ強力だからね!