それでも君と、はじめての恋を
体育のあとで暑いのか、素肌に羽織ったワイシャツは腕捲りされていて、緩く結ばれたネクタイの結び目と一緒に、胸元のワイシャツをぱたぱたと扇いでいる。
どこか遠くを見ていたモモはあたしの視線に気付いて、手の動きを止めた。
「……?」
何してもカッコイイなと思って見てただけです!
「何でもないよ」
そう言う割にはニヤけるあたしにモモは不服そうにしたけれど、特に突っ込んでくることもないまま純が口を開く。
「さっきの話の続きだけどさぁ、桃井って筋トレしてる?」
「してない」
そんなふたりの会話を横に、葵とあたしは自販機を前に何の飲み物を買うか決めかねていた。
「うっそだぁ〜! だってお前、コレ、何よ!」
触んじゃねぇバカ純!
バシバシとモモの腕を叩く純を軽く睨みながら、紙パックのグレープジュースのボタンを連打。
「何もしなくてこんな程良く筋肉付くわけないじゃ〜んっ」
「や、ほんと何もしてない」
「俺ぇ、今、試験前に勉強したぁ? してないやば〜い!って会話されてるのと同じ気分〜」
純うぜぇえええええ!!