それでも君と、はじめての恋を


「ちょっと純! モモが困ってるじゃん!」


無事にジュースを買ったあたしが止めに入ると、純は口を尖らせて「だって~」と可愛こぶる。


「だってじゃない! してないって言ってるんだからしてないの!」


そもそも筋トレとかモモがすると思う!? しないでしょ!

ちょっと想像したけど、ベッドの上でフッ!フッ!って腹筋とかしてるモモちょっとヤダ!


「だってさ~。見て、ほらぁ」

「ギャーーッ!」


あたしが叫びながら慌てて目を覆ったのは、純がいきなりモモのワイシャツをべろんと捲ったから。


「ね? すごい引き締まってるじゃぁん。これで筋トレしてないっておかしくない?」


何してるのバカ! 何してるのバカ!!


「ちょっと渉ぅ。聞いてる? ていうかちゃんと見た~?」

「いいから腹をしまって!」


ドッドッと鼓動が速くなって、隣にいた葵がクスリと笑ったのが分かる。


モモが純の手から自分のワイシャツを引っ張ったのが見えたのは、両手で顔を覆っているあたしの指に隙間が出来てるせい。


直視できなかっただけで、見れるもんなら見たいよね。モモの腹。


「何を恥ずかしがることがあるんだか」


笑いを含んで言った葵に顔を覆うのをやめて、楽しげに口の端を上げる彼女に眉を寄せた。
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