それでも君と、はじめての恋を


「どうせ毎日おにぃの腹を見てますよ」


でも、おにぃとモモとじゃ全然違うでしょ!


モモはすでにワイシャツの裾を軽くズボンの中に押し込んでいて、うるさかった自分の鼓動も落ち着いてきた。


「ねぇ~おかしくない? 体質とかそんなとこ?」


歩き出したモモの後を追う純は、まだそんなことを言ってる。


「さあ……妹抱えたりはしてるけど」


律儀に返答しなくていいのに。純なんかその辺に捨て置いてしまえばいいよ。


……にしても。

本当に引き締まった腹をしてましたね! 初めて見た。へそまで見えた。


モモのへそ……!


ブッと鼻血でも出そうなくらい興奮してたけどさすがにそれは表に出さず、ジュースにストローを突き刺した。


すると隣を歩いていた葵に名前を呼ばれて、顔を向けると「さっきの」と言われ首を傾げる。


「さっき?」

「もーすぐ2ヵ月じゃん? 桃井と付き合って」


ああ、その話ね……。


先程まで高ぶっていた気持ちがっていうのもちょっと変態くさいけど、上がっていたテンションが少なからず下がった。


「何か微妙なことでもあんの?」

「んー……」

そういうわけじゃないんだけども。


先程と同様に言葉を濁すと葵は不思議そうな表情を浮かべて、あたしは何て言えばいいのかと口をへの字に曲げる。
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