それでも君と、はじめての恋を




「新入部員ゲットするぞー!」

「そして部費アーップ!!」


純粋な願いと邪な狙いを耳に入れながら、放課後になり教室を出て行くクラスメイトに手を振る。

部活に入ってる子たちは新入部員をゲットするのに忙しいらしい。


部活見学も仮入部すらしなかった自分としては、何がそんなに大変なのか分からないけど、部活もひとつの青春なんだろうなぁと思う。


まあ今のあたしの青春は主に恋愛が占めてますけどね!



「渉」

「あ、帰――……」

「今日、妹の世話あるから先帰る」


モモに呼ばれて笑顔を向けたあたしに、そう言ってさっさと教室のドアへ歩き出す彼氏。


っえ――――!!


「ちょっ、モッ……」


慌てて立ち上がろうとすると、立ち止まり振り返ったモモがあたしの目の前に戻ってくる。


「忘れてた」


ぽん、とあたしの手の中に何か置いたモモは「またね」と言って本当にひとりで帰ってしまった。


呆然とモモの背中を見送ったあたしは、自分の手に視線を落とす。


え……えぇえー……。
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