それでも君と、はじめての恋を
*
「新入部員ゲットするぞー!」
「そして部費アーップ!!」
純粋な願いと邪な狙いを耳に入れながら、放課後になり教室を出て行くクラスメイトに手を振る。
部活に入ってる子たちは新入部員をゲットするのに忙しいらしい。
部活見学も仮入部すらしなかった自分としては、何がそんなに大変なのか分からないけど、部活もひとつの青春なんだろうなぁと思う。
まあ今のあたしの青春は主に恋愛が占めてますけどね!
「渉」
「あ、帰――……」
「今日、妹の世話あるから先帰る」
モモに呼ばれて笑顔を向けたあたしに、そう言ってさっさと教室のドアへ歩き出す彼氏。
っえ――――!!
「ちょっ、モッ……」
慌てて立ち上がろうとすると、立ち止まり振り返ったモモがあたしの目の前に戻ってくる。
「忘れてた」
ぽん、とあたしの手の中に何か置いたモモは「またね」と言って本当にひとりで帰ってしまった。
呆然とモモの背中を見送ったあたしは、自分の手に視線を落とす。
え……えぇえー……。