それでも君と、はじめての恋を
恋をすれば毎日がもっと楽しくなる、毎日がキラキラしてると思っていた。そんな日々を送ってみるのが小さな夢だった。
前にしか進まなかったあたしの恋は一歩下がった時もあったし、やる気ゼロになった時もあったけど、結果的には付き合えて、毎日幸せ。
でもあたしとモモは別々の人間で、価値観も恋愛観もきっと全く違う。
ひとりではなくふたりでするのが恋愛なら、恋よりなんて難しいんだろうって思う今日この頃。
「……」
モモに貰ったピンクのウサギさんを指でつまんで眺めてみても、ちょっと笑いしか出てこない。
妹が折ったなら可愛いけど、彼氏に折り紙プレゼントされる女子高生っている?
いないよね。いたらあたしも純みたいに爆笑する側だったに違いない。
「あー……モモと手ぇ繋いで帰りたいっ!」
「あっはは! すんごい低レベルな欲求ぅ~」
「繋げばいいじゃん」
純は心の中でボッコボコにしておいて、葵に泣き付く。
「いざ繋ごうとするとダメなんだよねっ」
「桃井から繋いでくれるの待ってたらシワシワになるよ」
「言い過ぎじゃない!?」
それはさすがに……有り得そうですネ。
「なんかさー付き合って1ヵ月くらいまでは、凄い浮かれてたからさぁ……」
「イチャイチャしたいわけね」
そう。ここぞとばかりにイチャつきたいの、あたし。
モモは、そういう気持ちを持ってないの?