それでも君と、はじめての恋を
*
持ってなかったね!
「ぶっはは!! 何ソレ意味分かんない!」
純がまた爆笑して、あたしは軽く目眩を起こしそうになる。昨日に引き続き、放課後のあたしの手には「妹から」とモモに渡された折り紙があるから。
今日は茶色いクマさん、メス。
だってマジックで描かれたパッチリお目めにちゃんと睫毛が……じゃなくて!
「モモッ!」
教室を出ようとしたモモを呼び止めて、慌ててカバンを持って駆け寄る。
「一緒に帰る!」
言いながら目の前に来たあたしに、モモはあろうことか不思議そうな顔をした。
「俺、今日も妹の……」
「いや、聞いたけど! 電車一緒だしモモが下りる駅まで一緒に帰れるじゃん!」
カバンの紐を握り締めて身を乗り出すあたしの勢いに、モモは少しのけ反って驚いてるみたい。でもすぐに言葉の意味を理解したのか、困った表情になった。
……何? ダメなの? 嫌なの!?
「今日、バスで帰る」
「……はい?」
バ、バス?って、学校の近くにあるバス停から乗るってこと? モモってバスでも家に帰れたっけ? あたしは電車以外じゃ帰れないんですけど!
「……今日は妹が遠足?で、街の方にいるから迎え行ってそのまま買い物する」
それもさっき言っておいてほしかった……。