それでも君と、はじめての恋を




持ってなかったね!


「ぶっはは!! 何ソレ意味分かんない!」


純がまた爆笑して、あたしは軽く目眩を起こしそうになる。昨日に引き続き、放課後のあたしの手には「妹から」とモモに渡された折り紙があるから。


今日は茶色いクマさん、メス。

だってマジックで描かれたパッチリお目めにちゃんと睫毛が……じゃなくて!


「モモッ!」


教室を出ようとしたモモを呼び止めて、慌ててカバンを持って駆け寄る。


「一緒に帰る!」


言いながら目の前に来たあたしに、モモはあろうことか不思議そうな顔をした。


「俺、今日も妹の……」

「いや、聞いたけど! 電車一緒だしモモが下りる駅まで一緒に帰れるじゃん!」


カバンの紐を握り締めて身を乗り出すあたしの勢いに、モモは少しのけ反って驚いてるみたい。でもすぐに言葉の意味を理解したのか、困った表情になった。


……何? ダメなの? 嫌なの!?


「今日、バスで帰る」

「……はい?」


バ、バス?って、学校の近くにあるバス停から乗るってこと? モモってバスでも家に帰れたっけ? あたしは電車以外じゃ帰れないんですけど!


「……今日は妹が遠足?で、街の方にいるから迎え行ってそのまま買い物する」


それもさっき言っておいてほしかった……。
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