それでも君と、はじめての恋を
「……別にいい」
そ、そうですか……。
怖いんですけど、無表情……。
てか、伝言ってなんだ。職員室にいるでしょ普通……。
その考えにハッとして、立ち去ろうとした桃井くんを呼び止めようとしたあたしは、勢い良く立ち上がった。
「あの! 多分職員室にっ」
―――バシャッ!
カンッ!と床に落ちてそのままコロコロ……と転がっていく缶に、唖然とする。
それから、桃井くんのカーディガンにできたココアの染みを見て、体中の血の気が引いた。
ま、さか……立ちあがった時にあたしの手にぶつかった缶が、運悪く桃井くんに……?
もはや芸術的にも見えるココアの染みに、頭のてっぺんからつま先まで完全に固まってしまう。
桃井くんは染みをジッと見つめて、多分、怒ってる。ていうか、絶対怒ってる。
「ご、ごめん……なさい……」
静まりかえった空気に耐えられず口を開くも、反応はない。それどころか桃井くんを包むドス黒いオーラまで見えた気がした。
殺される。
マジで殺される!
なんでこんなことに!!