それでも君と、はじめての恋を


格好悪いところも恥ずかしいところも、あたしはモモに今まで何度も見られた。


それでもモモはあたしを好きになってくれて、今付き合ってる。


付き合ってるのは夢じゃなくて現実なんだって、そんなの知ってるのに。葵のことになると熱くなるなんて、そんな発見しなくていいのに。


出逢った頃と変わらないモモだけど、実は結構あたしを見てるのかもしれない。


あたしがモモを知りたいと思うように、モモはあたしを知りたいと思ってくれてるのかな、とか。


そんなの恥ずかしい。だけどそれ以上に嬉しい。モモってあたしが好きなんだなって、何ソレもうバカみたい。



「真っ赤」


フッと一瞬だけ可笑しそうに笑ったモモに、あたしの心臓は融け始めたに違いない。


「え……今……」

「え……笑った!?」


久しぶりに見たらしいモモの笑顔に葵と純が騒ぎ始めたけど、あたしは顔の熱を冷ますことで精一杯。


ダメだもう、ヤバい。

今日のモモは笑顔を見せすぎ。心臓がもたない。真っ赤なんて言って笑うのは、あたしだけの特権なのに。


ニヤける余裕なんて全くなくて、少しでも赤い顔を隠したくて手の甲で口を覆った。


蓄積される好きが、胸をいっぱいにさせる。


……きっと、特に大きな問題がなかった葵があたしとモモを羨ましいって思うのは、七尋くんが好きだからで。


もっと逢いたいとか寂しいとか、怒ったり羨んでしまうのも、好きだから顔を出してしまう気持ちなんだと思う。


積もる好きという感情が、それだけで終わるわけじゃないなんて。
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