それでも君と、はじめての恋を


好きなら好きだけでいいのに。

ずっと幸せな気持ちでいられたらいいのに。


出来れば不安なんて感じたくないし、喧嘩だってしたくないけど、そうなったとしてもいいかと思うのは何でなんだろう。


葵や他の友達を見てきて、結局好きなんだろうなってことが伝わったからかもしれない。


結果別れてしまう子だっていたし、本当にボロボロで泣き続ける子もいたし、何もかもが好きだけで片付けられないことも知ってる。


いつかあたしもそんな時が来てしまうのかもしれない。


だけど今考えてもしょうがないことで、未然に防ぐ努力なんてきっとあたしには出来なくて。その場の勢いで突っ走ってしまうに決まってる。


今のあたしは、モモが好きという気持ちを大事にするしかない。


ずっと見失わずに、積もる分以上に。大切にしたいなって、思う。



「……おさまった?」


聞くとモモは口元に緩やかな弧を描いて、ワンクッション置いてから口を開いた。


「少し」


まだちょっと赤いのかな。ていうか、今日のモモは何だかいつもと違うのは気のせい?


「ね~もっかい笑ってみてよ」

「何で」


頬を引っ張ろうとする純の手を避けるモモは、やっぱり機嫌が良さそう。いつも通りの無愛想に戻ってるけど、雰囲気が優しい気がした。


何か、楽しいことしたい……気分。


「何ニヤけてんの」

「ニ、ニヤけてない……!」


葵に突っ込まれて、あたしは顔を見せないようにカバンからお弁当を取り出す。教室の時計を見れば、昼休みは残り10分もなかった。
< 247 / 490 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop